航空無線通信士|航空通の試験概要
航空無線通信士は航空通ともよばれ、
航空運送事業で使用する無線設備の操作に必要な国家資格です。
航空運送事業とは、乗客から搭乗料をもらって運営する航空事業のことで、
航空無線通信士|航空通が必要な代表的な職業としては、
“旅客機のパイロット”
“管制官”
があります。
合格率(難易度) / 航空無線通信士
ここ数年の航空無線通信士|航空通試験の合格率は、
35%前後
を推移。各年の詳細は、合格率と難易度分析ページに掲載。
受験資格 / 航空無線通信士
誰でも受験可能
試験内容 / 航空無線通信士
① 無線工学 14問/1時間30分
・A問題 10問 × 5点
・B問題 4問 × 5点(小設問各1点)
② 法規 20問/1時間30分
・A問題 10問 × 5点
・B問題 10問 × 5点(小設問各1点)
③ 英語 12問/1時間30分+30分
・筆記 大問5問(小問24問) 計70点
・英会話(リスニング) 7問 計35点
④ 電気通信術(実技)
・受話 100文字/2分の書き取り
・送話 100文字/2分の発音(面接形式)
試験の合格基準 / 航空無線通信士
① 無線工学 70点満点中、49点以上
② 法規 100点満点中、70点以上
③ 英語 105点満点中、60点以上
※ただし英会話(リスニング)の点数が15点未満の場合は、英語は不合格。
④ 電気通信術
送話:100点満点中、80点以上
受話:100点満点中、80点以上
試験日程 / 航空無線通信士
①毎年 2月上旬
②毎年 8月下旬
受験申請の受付期間 / 航空無線通信士
①2月期の試験申請期間
前年度の12月上旬~中旬頃
②8月期の試験申請期間
6月上旬~中旬頃
※試験申請期間は年度により多少前後します。
試験の受験地 / 航空無線通信士
東京、札幌、仙台、長野、金沢、名古屋、大阪、広島、松山、熊本、那覇
受験料 / 航空無線通信士
9,300円
※別途郵送料が必要となります。
有効期限 / 航空無線通信士
永年有効(取消処分時を除く)
※昭和33年の電波法改正により無線従事者免許には有効期限が無くなりました。
試験の科目免除について / 航空無線通信士
① 以下に掲げる国家試験において合格済みの科目は、航空無線通信士|航空通の試験で科目免除扱いに出来る。
※要申請。有効期間は下記試験の試験日から3年以内。
第一級総合無線通信士
第二級総合無線通信士
第三級総合無線通信士
第一級海上無線通信士
第二級海上無線通信士
第三級海上無線通信士
第四級海上無線通信士
航空無線通信士
第一級陸上無線技術士
第二級陸上無線技術士
②総務大臣の指定を受けた学校等(認定学校等)を卒業したことにより、航空無線通信士|航空通の試験科目の一部免除が認められる場合。
③無線従事者の資格により一定の業務経歴を有する者が、航空無線通信士|航空通を受けるときに試験科目の一部免除が認められる場合。
④電気通信事業法による資格証を有する者が、航空無線通信士|航空通の試験を受けるときに試験科目の一部免除が認められる場合。
試験に関する問合せ / 航空無線通信士
公益財団法人 日本無線協会 本部 03-3533-6022
北海道支部 011-271-6060
東北支部 022-265-0575
信越支部 026-234-1377
北陸支部 0762-22-7121
東海支部 052-951-2589
近畿支部 06-6942-0420
中国支部 082-227-5253
四国支部 089-946-4431
九州支部 096-356-7902
沖縄支部 098-840-1816
試験申込の申請先 / 航空無線通信士
公益財団法人 日本無線協会
のホームページから申請。
試験合格後の免許申請方法
免許証の交付申請をする為には、試験合格後、総務大臣又は地方総合通信局長に対して免許申請を行い、免許証の交付を受けます。
<免許申請に必要な書類等>
①免許申請書
①申請用写真(試験時に使用したものと同じ大きさの証明写真)
③氏名、生年月日を証する書類(住民票等)、ただし、住基ネット利用時は不要。
④試験申請手数料 1750円
免許申請書は、総務省の申請書取得ページからダウンロード可能。
過去問 / 航空無線通信士
過去問一覧ページに平成14年(2002年)以降の航空無線通信士|航空通、航空特殊無線技士の全過去問を掲載しています。
無料で対策ページで航空無線通信士|航空通の頻出の過去問解説をしています。
免許証再交付の条件 / 航空無線通信士
航空無線通信士の免許証を汚したり、破ったり、紛失したりした場合は、再交付を受けることができます。
免許証の再交付を受けるには、総務省の規定に定めた申請手続きが必要です。
免許交付が認可されないケース / 航空無線通信士
①過去に電波法に違反して罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、またはその執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない場合。
②航空無線通信士の免許を取り消され、取り消しの日から2年を経過しない場合。
③著しく心身に欠陥があって無線従事者たるに適しない場合。
国籍の条件 / 航空無線通信士
航空無線通信士|航空通免許の取得に際して日本国籍の有無は問われません。
試験結果の得点開示 / 航空無線通信士
日本無線協会に書面による開示請求をすることで、有料で得点開示してもらうことができます。
航空無線通信士|航空通 の歴史と概要
航空無線通信士|航空通は、無線従事者国家資格の一種で1989年に制定された資格で、国際電気通信連合憲章に規定されている無線通信規則に準拠したものです。
所管は総務省で、通称は航空通です。設立当初は航空級無線通信士という名前でしたが、昭和33年の電波法改正に伴い、航空無線通信士|航空通(英名:Aeronautical Radio Operator)に変更されました。
前述の通り航空無線通信士|航空通は航空特殊無線技士の上位資格ですが、同時に第一級・第二級総合通信士の下位資格になります。
また名前が似ている資格に、航空法に基づく国土交通省所管の “航空通信士” という資格もありますが、航空通信士は昔のコックピットに3人乗りだった時代に航空機無線業務を行う資格です。
対して、航空無線通信士|航空通は、現代の航空運送事業用航空機に開設された航空機局や、この航空無線通信を行う航空局などで、通信操作に従事する者が取得しなければならない資格です。
電波法では、空中線電力250ワット以下という制限のもとに管制官との通信や、機上に搭載してあるレーダーの操作を行うもの。を航空無線通信士の業務範囲として定義しています。
日本の空で飛行機を操縦したい人には、航空無線通信士|航空通か航空特殊無線技士のライセンスが必要となります。
航空無線通信士|航空通は事業用の飛行機を操縦するための必須ライセンスであり、定期輸送業務や管制官が取得する資格です。航空無線(ATC)は全て英語でのやり取りの為、航空通では英語は必須科目で、航空無線の免許としては最上位に位置します。
航空無線通信士|航空通の取得方法は2つ
航空無線通信士|航空通を取得する方法は
①国家試験に合格する
②養成課程講習会を修了する
の大きく2つあります。
①国家試験で取得|航空通
国家試験は、上述の通り日本無線協会主催により、毎年8月と2月の年2回実施されています。試験科目も上述の通り、英語、無線工学、法規、電気通信術の4科目。英語の難易度は英語検定2級程度と言われることが多いですが、英検など通常の英語学習には出てこない、“航空に特化” した知識が問われます。
②養成課程講習会を修了する
一方で養成課程講習会は、総合通信局長の認定を受けた複数の団体が実施しています。
さらに養成課程には、
“通常の養成過程講習会”
“長期型養成課程講習会”
の2つがあります。
通常の養成課程講習会の場合は、
無線工学23時間以上、法規25時間以上、英語50時間以上、電気通信術2時間以上で合計で100時間以上の講習を受ける必要があります。
またこちらはeラーニングで受講することもできます。
eラーニングは複数の団体が実施しており、
特定の教室や自宅のパソコン等でも受講できます。
また通常の養成課程講習会の費用相場は25~30万円となります。※養成講習会の主催団体により異なります。
一方で長期型養成課程講習会では、
1年以上の無線通信に関する科目を開設している学校等で総合通信局長の認定を受けて行うもので、
現在は海上保安大学校と海上保安学校が認定を受けています。
期間は長く、無線機器41時間以上、空中線系及び電波伝播10時間以上、無線測定2時間以上、電波法令55時間以上、国際条約7時間以上、英語100時間以上、電気通信術4時間以上の219時間以上の講習となりますが、こちらは海上保安大学校や海上保安学校の学生向けですので、それ以外の方が航空通の取得を目的に長期型養成課程講習会を受講することはありません。
養成講習会は募集人数が少ない事、また受講費用が高額のため、
航空通の取得を目指す人のほとんどは、国家試験の合格によって、資格を取得しています。