航空特殊無線技士の試験概要
航空特殊無線技士は、
航空運送事業以外で使用する無線設備の操作に必要な国家資格です。
航空運送事業とは、乗客からお金をもらって運営する航空事業のことで、代表的なものはエアラインパイロットがこれに当たります。
※この場合は航空無線通信士が必要。
航空特殊無線技士では、航空運送事業以外の無線操作が可能です。
航空特殊無線技士が必要な仕事としては、
“自家用機でのフライト”
具体的には、
パイロットになる為の訓練フライト
遊覧飛行
上空からの消火活動
農薬散布
等があります。
合格率(難易度) / 航空特殊無線技士
ここ数年の航空特殊無線技士試験の合格率は、
75%前後
直近の詳細は、合格率と難易度分析ページに掲載。
受験資格 / 航空特殊無線技士
誰でも受験可能
試験内容 / 航空特殊無線技士
① 無線工学 ②法規 各12問/1時間
全問1問 5点
※2科目同時試験で試験時間1時間です。
③ 電気通信術(実技)
・受話 100文字/2分の書き取り
・送話 100文字/2分の発音(面接形式)
試験の合格基準 / 航空特殊無線技士
① 無線工学 60点満点中、40点以上
② 法規 60点満点中、40点以上
④ 電気通信術
送話:100点満点中、80点以上
受話:100点満点中、80点以上
試験日程 / 航空特殊無線技士
年3回実施
①6月中旬
②10月中旬
③2月上旬(年3回)
受験申請の受付期間 / 航空特殊無線技士
①4月上旬~下旬頃まで
②8月上旬~下旬頃まで
③12月上旬~下旬頃まで
※年度により試験申請期間は多少前後します。
試験の受験地 / 航空特殊無線技士
東京、札幌、仙台、長野、金沢、名古屋、大阪、広島、松山、熊本、那覇
受験料 / 航空特殊無線技士
6,400円
※郵送料が別途必要です。
有効期限 / 航空特殊無線技士
永年有効(取消処分時を除く)
※昭和33年の電波法改正により航空特殊無線技士の有効期限が無くなりました。
科目免除について / 航空特殊無線技士
① 以下に掲げる国家資格を有する場合は、航空特殊無線技士の無線工学のみを科目免除扱いにする事が可能。
※要申請。有効期間は下記試験の試験日から3年以内。
第一級陸上無線技術士
第二級陸上無線技術士
②総務大臣の指定を受けた学校等(認定学校等)を卒業したことにより、航空特殊無線技士の試験科目の一部免除が認められる場合。
③無線従事者の資格により一定の業務経歴を有する者が、航空特殊無線技士を受けるときに試験科目の一部免除が認められる場合。
④電気通信事業法による資格証を有する者が、航空特殊無線技士の試験を受けるときに試験科目の一部免除が認められる場合。
試験に関する問合せ / 航空特殊無線技士
公益財団法人 日本無線協会 本部 03-3533-6022
北海道支部 011-271-6060
東北支部 022-265-0575
信越支部 026-234-1377
北陸支部 0762-22-7121
東海支部 052-951-2589
近畿支部 06-6942-0420
中国支部 082-227-5253
四国支部 089-946-4431
九州支部 096-356-7902
沖縄支部 098-840-1816
試験申込の申請先 / 航空特殊無線技士
公益財団法人 日本無線協会
のホームページから申請。
試験合格後の免許申請方法
免許証の交付申請をする為には、試験合格後、総務大臣又は地方総合通信局長に対して免許申請を行い、免許証の交付を受けます。
<免許申請に必要な書類等>
①免許申請書
①申請用写真(試験時と同じ大きさの証明写真)
③氏名、生年月日を証する書類(住民票等)、ただし、住基ネット利用時は不要。
④試験申請手数料 1750円
免許申請書は、総務省の申請書取得ページからダウンロード出来ます。
※公益財団法人 日本無線協会では、航空特殊無線技士及びアマチュア無線技士の資格に限り、ご本人に代わって、有料(350円)で総務省への申請の取次ぎを行っています。
過去問 / 航空特殊無線技士|航空特
過去問一覧ページに平成14年(2002年)以降の航空特殊無線技士、航空無線通信士の全過去問を掲載しています。
免許証再交付の条件 / 航空特殊無線技士
航空特殊無線技士の免許証を汚したり、破ったり、紛失したりした場合は、再交付を受けることができます。
免許証の再交付を受けるには、総務省の規定に則り申請手続きが必要です。
免許交付が認可されないケース / 航空特殊無線技士
①過去に電波法に違反して罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、またはその執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない場合。
②航空特殊無線技士の免許を取り消され、取り消しの日から2年を経過しない場合。
③著しく心身に欠陥があって無線従事者たるに適しない場合。
国籍の条件 / 航空特殊無線技士
航空特殊無線技士免許の取得に際して日本国籍の有無は問われません。
試験結果の得点開示 / 航空特殊無線技士
日本無線協会に書面による開示請求をすることで、有料で得点開示してもらうことができます。
航空特殊無線技士|航空特 の歴史と概要
航空特殊無線技士は、通称は航空特と略称され、1989年に制定された資格で、国際電気通信連合憲章に規定されている無線通信規則を基に作られた、無線従事者国家資格の一つです。英語表記は”Aeronautical Service Special Radio Operator”。
無線従事者国家資格ですので、所管は総務省になりますが、試験運営や各種申請手続きは公益財団法人 日本無線協会が行います。
また昭和まで存在した特殊無線技士(無線電話丙)の資格は航空特殊無線技士とみなされます。
よく比較される航空無線通信士は、航空特殊無線技士の上位資格になります。
別の似た資格名の試験に、航空法で定められた “航空通信士” という資格がありますが、航空通信士は昔のコックピットに3人乗りだった時代に航空機無線業務を行う資格です。
対して、航空特殊無線技士は、自家用操縦士の業務範囲で使用する航空機に開設された航空機局や、この航空無線通信を行う航空局などで、通信業務に従事する者が取得しなければならない資格です。
電波法では、
空中線電力50W以下の無線設備で25010kHz以上の周波数の電波を使用するもの
航空交通管制用トランスポンダで前号に掲げるもの以外のもの
レーダーで第1号に掲げるもの以外のもの
の3項目を航空特殊無線技士の業務範囲として定義しています。
よく誤認されますが、アマチュア無線技士の操作範囲は、航空特では実施できません。
航空特では、無線設備の操作が「外部の転換装置で電波の質に影響を及ぼさないものの技術操作」に限定されていますが、
アマチュア無線技士では、外部電波の質に影響を及ぼす可能性があるためです。
結果として、
航空運送事業用以外の航空機に開設された航空機局やこの航空機と通信を行う航空局でVHF以上の無線設備を操作する事ができます。
また、空港や航空従事者で自家用操縦士、自家用航空機と通信する職員等は、航空特以上の資格を持っている必要があります。
試験を受ける人の多くは、小型機の操縦訓練を始める場合や、小型機が専門で利用する地方飛行場の職員、趣味で無線資格の取得を目指している人です。
また小型機の操縦訓練をするためだけの目的であれば、「操縦練習飛行許可」を有していれば、同乗教官の監督下という条件付きで管制官との交信が出来ます。
アメリカでは、自家用操縦士の筆記試験に航空特に相当する問題が含まれており、ビジネス(事業)目的以外の飛行であれば、自家用操縦士の資格でのみで無線操作も出来ます。アメリカ以外にも自家用操縦士の資格に航空特を含める国はありますが、
日本で自家用操縦士として書き換えを行う場合は、
航空特の書き換えは含まれず、別に航空特の試験に合格しなおす必要があります。
航空特殊無線技士の取得方法は2つ
航空特殊無線技士を取得する方法は、航空無線通信士と同様2つに大別出来ます。
①国家試験に合格する
②養成課程講習会を修了する
①国家試験で取得
国家試験は、毎年6月、10月と2月の年3回実施されています。上述の通り日本無線協会主催で、試験科目は無線工学、法規、電気通信術の3科目。上位資格の航空無線通信士と比較すると、難易度は下がりますが、無線に関する専門知識が問われます。
②養成課程講習会を修了する
総合通信局長の認定を受けた団体が実施している講習会を受講することで航空特殊無線技士を取得できます。
養成過程講習会の場合は、
授業は午前9時から午後5時までの間で1日で終了します。
また講習は航空無線通信士と同様、eラーニングで受講することもできます。
eラーニングは複数の団体が実施しており、
特定の教室や自宅のパソコン等でも受講可能です。
また通常の養成課程講習会の費用相場は5万円程度が相場となります。
※養成講習会の主催団体により異なります。